ある幻想画家の手記

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神戸人は「北・南」を「山側・海側」なんて言わない

神戸人は、北と南のことを「山側」「海側」と呼ぶと紹介されるのをたまに目にする。ウソである。元町大丸百貨店内のエスカレータ表示がそうなっているのが面白いから広まっただけだろう。

では、どういうのかというと、北、山側とは言わず「上」、南、海側とはいわず「下」というのだ。「なるほど、北は地図で上だものな」と思う人がいそうだが、そうではない。いや、それもないではないが、それ以上に、山から海に向かって勾配がついている土地だから「高い場所」という意味で「上」、「低い場所」という意味で「下」というのである。

だから「私の家は43号線の下」といったら、「国道43号線の南」あるいは「国道43号線から見て海側」という意味である。43号線の高架道路の下に家があるという意味ではない。

「上」と「下」――それは北とか南とか、あるいは山側とか海側を言っているのではない。単純に、そこにある「上」と「下」なのである。そしてその表現で実際に事足りるのである。驚かれるかもしれないが、この言い方をしていることを当の神戸人があまり気づいていない。あまりにそれが当たり前の言い方だからだろう。元町大丸のエスカレータが「山側」「海側」になっているのは、ここで「上」「下」と表現すると、階の上下と混乱するのと、会話のような文脈なくいきなり「上」と「下」ではさすがにとまどうからであろう。

ちなみに、神戸人は山があるのが北、海があるのが南だと思っているともよく紹介される。こっちのほうはネタでなく、本当である。頭ではそうでない場所などいくらでもあるとわかっているが、実際に山や海を見るとそう思ってしまうのだ。私もよく誤認識します。